こんにちは。土地家屋調査士として、長年にわたり土地の測量・登記・境界確定などをお手伝いしてきました。
今回は、「土地を売却する前」「住宅を建築する前」にぜひ知っていただきたい、**“正確な面積の把握”と“測量の重要性”**について、わかりやすく解説していきます。
「登記簿の面積と実際の広さって違うの?」
「測量しないと売れないの?」
「建てた後にトラブルにならないか不安…」
そう感じている方にとって、後悔しないための大切な情報になるはずです。

◆ 登記簿の面積=正確な面積とは限らない?
まず、多くの方が誤解しがちなポイントを一つ。
「法務局の登記簿に記載されている面積は、必ずしも“正確”ではありません」
実は、登記簿の面積の多くは 古い測量方法や 目視による簡易計測で記録されたものが多く、実際の土地の面積と数%以上ズレているケースも少なくないのです。
特に以下のような土地は注意が必要です。
- 昭和以前に登記された土地
- 三角測量や目測が使われた地域
- 境界標がない・あいまいな土地
- 境界確認が長年行われていない
登記簿の面積だけを信じて売却や建築を進めると、売却価格のトラブルや建築基準法違反などに繋がる危険もあります。
◆ 土地を売却する前に“面積の正確性”が求められる理由
土地の売買では、契約書に「面積」が明記されます。
買主はその数字を信じて購入しますので、実際より面積が少ない(または多い)ことが判明した場合、売主が損害賠償を求められるリスクもあります。
例:登記簿では120㎡と記載 → 実測では110㎡だった場合
- 1㎡あたり20万円の相場なら、200万円の差額
- 「実測売買」で契約していなければ、返金や価格交渉に応じなければならないことも
- 「面積が違う」として買主が契約を白紙にするケースもあり得ます
土地家屋調査士による正確な測量=売主としての法的・経済的リスク回避につながります。

◆ 家を建てる前に面積を把握しないと、どうなる?
建物を建てる際にも、「敷地面積」は非常に重要なファクターです。
建築可能な面積(建ぺい率・容積率)は、土地の面積によって厳密に決まっています。
例:建ぺい率60%、容積率200%の土地
- 登記簿で120㎡ → 建てられる面積は建ぺい72㎡・延床240㎡
- しかし実際の測量で110㎡しかなかった → 建てられるのは建ぺい66㎡・延床220㎡に減少
つまり、知らずに計画してしまうと、間取りや建築プランに大きな制約が出てしまう可能性があるのです。
また、隣地との距離が法定基準に満たない場合、セットバック(後退)を求められ、敷地をフルに活用できないこともあります。
◆ 土地家屋調査士に相談するメリット
土地家屋調査士は、国家資格を持つ測量と登記の専門家です。
特に「土地の境界」や「面積の確定」といった業務は、他の資格者や不動産業者では代行できない、極めて専門的な仕事です。
土地家屋調査士に依頼するメリット:
- 現地と登記情報のズレを把握し、正確な面積を測定
- 隣地との境界を明確にし、将来のトラブルを予防
- 境界標の設置により、安心して土地を譲渡・活用できる
- 測量結果に基づく登記(地積更正登記・分筆登記)を一括サポート
◆ 測量の種類と目的別の選び方
「測量」と一言で言っても、目的に応じて複数の種類があります。
ここでは、主な測量の種類と、それぞれどのようなシーンで必要かをまとめます。
測量の種類 | 用途・目的 |
---|---|
現況測量 | 現在の土地の形状や高低差を測る(建築前の調査) |
境界確定測量 | 隣地との境界を明確にし、境界標を設置する |
分筆測量 | 土地を複数に分ける(相続や分譲など) |
地積更正測量 | 登記簿の面積と実測が違うときに正す |
敷地調査測量(建築測量) | 建築確認申請の前提となる測量 |
◆ 測量の流れとスケジュール感(境界確定測量の例)
- ご相談・ヒアリング(無料)
土地の状況や目的を伺い、必要な測量の種類を判断します。 - 資料調査
法務局、役所、公図、地積測量図などの書類を収集・精査。 - 現地測量
実際の土地を計測し、面積・形状・境界などを記録。 - 隣地立ち会い・確認作業
隣接地の所有者と協議し、境界確認書を取り交わします。 - 境界標の設置・成果品作成
境界に杭やプレートを設置し、測量図を作成。 - (必要に応じて)登記手続き代行
地積更正登記や分筆登記をサポートします。
通常、測量の期間は1ヶ月〜3ヶ月程度。
隣地との立ち会いなどの調整で前後することがあります。

◆ よくあるご質問(Q&A)
Q. 測量費用はどのくらいかかりますか?
A. 土地の広さや測量の種類により異なりますが、境界確定測量で30〜60万円程度が一般的です。
Q. 測量しないで土地を売ることはできますか?
A. 可能ではありますが、後々のトラブルを避けるために「実測売買」が推奨されます。買主からも正確な測量を求められることが増えています。
Q. 隣地の人が立ち会ってくれない場合は?
A. その場合でも、できる限りの資料・証拠を集めて進める方法があります。土地家屋調査士が法的に配慮しながら対応します。
◆ まとめ:正確な面積の把握こそが“安心”と“価値”につながる
土地を売るとき、家を建てるとき——その前に必要なのは、「土地の本当の姿」を知ることです。
- 登記面積と実測が違えば、価格やプランに大きな影響
- 隣地との境界を曖昧にしておくと、後々のトラブルに発展
- 測量は数十万円の費用でも、数百万円単位の損得を左右する重要な工程
土地家屋調査士は、あなたの土地を守り、安心して次のステップへ進むための“専門的な伴走者”です。
「この土地、どのくらいあるのか正確に知りたい」
「建築計画を立てる前に測量しておきたい」
そう感じた今こそが、動き出す最適なタイミングです。
まずはお気軽にご相談ください。ご相談・初回の現地確認は無料で対応しております。