結論から申し上げると、正確で法的に適切な測量や境界確定が必要な場合は、「土地家屋調査士」に依頼するのが最良の選択です。
不動産会社と土地家屋調査士では、役割も専門性も異なります。以下に詳しく比較します。
■ 不動産会社と土地家屋調査士の違いとは?
比較項目 | 不動産会社 | 土地家屋調査士 |
---|---|---|
主な業務 | 売買・仲介・査定・賃貸管理 | 測量・登記・境界確定 |
法的資格 | 特に不要(宅建士資格があると望ましい) | 国家資格(法務省登録) |
境界確定の可否 | 原則できない(調査士に依頼する必要あり) | 境界確定測量の専門家 |
登記申請書類の作成 | 一部書類のみ可能だが限界あり | 表題登記、地積更正、分筆登記など対応可 |
費用 | 比較的安いこともあるが、再依頼が必要なケースも | 専門性が高く、長期的に見ると安心で確実 |
精度・信頼性 | 内容に差があり注意が必要 | 測量法・登記法に則った正確な作業が可能 |
■ なぜ土地家屋調査士がベストなのか?
1. 法務局への登記が可能
土地の売買や分筆、建物の新築や滅失など、正しい情報を法務局に登記する必要があります。この登記に関する書類を作成し、代理申請まで行えるのは「土地家屋調査士」のみです。
2. 境界確定ができる唯一の資格者
隣地との境界が不明確な場合やトラブルの予防として、境界確定測量は非常に重要です。不動産会社では法的な境界確定はできず、結局は調査士に再依頼することになります。
3. 正確な面積や形状の把握
売却や相続時に「登記簿上の面積」と「実測面積」が大きく異なっていることがあります。これを正確に把握し、訂正できるのは土地家屋調査士です。
4. トラブル予防の観点でも有利
不正確な情報や境界未確定のまま売却や相続を進めてしまうと、将来の法的トラブルや金銭的損失につながる可能性があります。調査士による正確な測量は、そのようなリスクを未然に防ぎます。
■ 逆に、不動産会社に頼むべき場合は?
不動産会社は、「売る」「買う」「借りる」ことに関してのプロフェッショナルです。
以下のような場面では、不動産会社が適任です:
- 相場の調査・価格査定をしてほしい
- 売却・購入の相談がしたい
- 賃貸管理や空き家対策を頼みたい
- 買主・売主を探してほしい
つまり、「物件の流通・仲介」は不動産会社、「土地・建物の正確な測量・登記処理」は土地家屋調査士と役割を明確に分けるのがベストです。
■ 実際によくある誤解と失敗
- 「不動産会社にすべて任せれば大丈夫」と思っていたが、後から「境界が曖昧で売れない」と判明
- 「知人の不動産業者にお願いしたら、測量図がなかった」「結局調査士に依頼して二重の費用が発生」
- 「建物の登記が古いままだと気付かず、融資審査に影響が出た」
こうしたトラブルの多くは、「最初に土地家屋調査士に相談していれば防げたこと」です。
■ 結論:目的に応じて、正しい専門家を選びましょう
不動産に関わる問題は、専門性の高い分野です。
売却・活用の相談は不動産会社、測量・境界・登記は土地家屋調査士。
このように適切に役割を理解し、最初の段階から「プロに正しく相談する」ことが、後悔しない不動産相続や売買の第一歩です。
ご相談はお早めに
土地や建物のことで少しでも不安を感じたら、土地家屋調査士へお気軽にご相談ください。
私たちは、あなたの不動産の“いま”と“これから”を、法的にも実務的にも全力でサポートいたします。