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登記の面積と実際が違う?土地の確認と解決の流れ

土地を相続したり売却しようとしたときに「登記の面積と実際の広さが違う」と言われることがあります。松本市や安曇野市などでもよくある相談です。原因は、古い公図のズレ、昔の分筆での記録漏れ、境界の印の紛失、または塀やカーポートなどの越境など、さまざまです。放っておくと、評価や税金、売買、建築許可など、すべてに影響することがあります。ここでは、最短ルートで問題を整理し、実例をもとに解決の流れを紹介します。

1 まず確認すべき三つの図面と現地

早く進めるためには、言葉の意味と前提をそろえることが大切です。

・公図
法務局にある土地の配置図で、大まかな位置関係を示すものです。正確な面積や境界を保証するものではなく、古い地域ほど歪みが多く見られます。

・地積測量図
分筆や合筆、地積更正などの際に作られる、正式な境界と面積を示す図面です。すべての土地にあるわけではありません。

・現況(実測)
GNSSやトータルステーション、必要に応じてドローンなどを使い、今の実際の面積を測った結果です。

この三つのデータにズレがある場合、どれを基準に修正するかが重要になります。一般的には、確定した境界に基づく実測が最も信頼できる根拠です。

2 面積の違いを疑った時のチェックリスト

1 不動産購入時の契約書や重要事項説明書を確認する。面積が「公簿」か「実測」かをチェック。
2 法務局で地積測量図があるか調べる。あれば入手、無ければその旨をメモ。
3 現地で境界の印(杭やプレート、石など)が残っているか確認する。
4 塀やフェンス、庇、カーポートなどが隣地をまたいでいないか見る。
5 固定資産税の明細にある面積と登記の面積を比較する。

この5項目で、図面不足型、境界不明型、越境混在型などの状態を大まかに判断できます。

3 解決までの流れ(参考のモデル)

STEP1 資料収集と現地確認
法務局では公図や地積測量図、登記事項を取得。役所では道路台帳や都市計画、開発履歴を確認。現地では境界標の有無、越境、擁壁や排水の状況を見ます。

STEP2 現況測量(仮測)
周囲の既知点を使っておおよその形と面積を把握し、誤差の大きさや隣地との関係の難易度を見極めます。

STEP3 隣地への挨拶と立会い調整
立会いがスムーズに進むように、土日午前など都合の良い時間を複数提示し、封書、掲示、対面の三段階で連絡します。高齢の方には見やすい案内図を同封し、過去の協定があれば共有します。

STEP4 境界確認測量(本測)
古い資料と現地の情報を合わせて、法的に正しい境界を確定します。境界点には耐久性のある印を設置します。

STEP5 成果のまとめ
隣地所有者の署名押印入りの境界確認書、測量計算書、座標表、現況図、確定実測図を作成します。越境物がある場合は覚書案を用意します。

STEP6 登記修正(必要に応じて)
地積更正登記で面積を訂正、分筆登記で土地を分け、合筆登記で土地をまとめます。これでズレを直し、市場で通用する状態になります。

4 立会いをうまく進めるための言い方例

目的は納得して共有すること。対立しない言い方を心がけます。

事前説明の例
古い図面では曖昧になっている部分を、みんなで正確に確認したい。

メリットの説明
将来の売買や相続の際にお互いが困らない状態にできる。

当日の流れ
測量基準点の説明、各境界候補の確認、構造物の扱い、印刷図面での確認。合意できない部分は保留と記録しておきます。

5 越境の解決方法(覚書の基本)

現状維持と将来の是正を約束する形にする。例えば「現状のまま使用してよいが、建替えや売却時に撤去する」。
費用負担は原則として越境した側だが、関係を重視して折半もあり。
覚書には、対象物、位置、期限、費用、責任、承継の有無、連絡先などを記載する。

6 例 登記より32平方メートル小さかったケース

松本市の旗竿地で、登記より実際の面積が小さいケース。私道部分の扱いがあいまいで、隣地2件の境界標が欠損していました。

対応策
古い分筆図から座標を復元し、私道境界を再合意。越境していたフェンスは建替時に撤去する覚書を作成。実測面積で地積更正登記を行い、売買時の不安を解消。

結果
融資審査がスムーズに通り、予定より早く売買が成立しました。

7 よくある質問

地積測量図が無いと解決できませんか?
問題ありません。現地測量と近隣の合意が最も重要です。

隣の人が協力してくれない時は?
日程の再提案、代理人同席、書面での意見聴取などの方法があります。最終手段として筆界特定という行政手続もあります。

面積が減ると損ですか?
一見損に見えますが、確定すること自体が価値です。はっきりすることで売買や融資がスムーズになります。

8 まとめ 放置はコストが高い

登記と現地のズレを放置すると、時間が経つほど合意が難しくなります。早めに現況を見える形にし、立会いで共有し、必要なら登記を修正することが大切です。最終目標は「誰が見ても同じ答えにたどり着く状態」。それが土地の価値を守る一番の近道です。