松本市で土地を売りたい、家を建てたい、相続で土地を引き継ぐ予定がある──そんなときに必ずといっていいほど必要になるのが測量です。
ただ、測量と聞くと少し難しく感じる方も多く、そもそも何をするのか、どれくらい時間がかかるのか、費用はいくらなのかといった疑問がつきものです。
この記事では、松本市周辺で土地の測量を検討している方へ向けて、測量の基本から境界確定測量の流れ、依頼する前に知っておきたいポイントまで、土地家屋調査士の視点で分かりやすくまとめました。
松本市は地形が複雑な場所も多く、昔からの住宅地や農地が入り混じる地域柄、境界や面積のズレが起こりやすいエリアでもあります。だからこそ、早めの測量が将来のトラブル防止につながります。
まずは、測量がなぜ必要なのか、その理由からお話しします。

【登記簿の面積は必ずしも正しくない理由】
多くの方が「登記簿に面積が書いてあるから測量は必要ない」と思いがちですが、ここに大きな落とし穴があります。
登記簿の面積は、必ずしも現在の土地形状を正確に表しているとは限りません。
特に松本市のように、昔からの土地利用が続いている地域では、昭和以前の登記情報がそのまま残っているケースも珍しくありません。
当時は現在のような精密な測量機器がなく、目測や巻尺だけで測った面積がそのまま使われていた土地もあります。
そのため、登記面積と実際の土地の広さが数%以上ズレていることもあります。
実際にあったケースでは、120平方メートルと登記されていた土地が、実測で110平方メートルしかなく、売買価格の交渉で大きな影響が出た例もありました。
土地の価値は面積によって左右されますので、正確な測量は売主にも買主にも欠かせない作業なのです。
【測量が必要になる典型的な場面】
測量が必要になるタイミングは主に次の五つです。
・家を建てるとき
・土地を売買するとき
・相続で土地を分けたいとき
・登記面積が古くて不安なとき
・隣地との境界が曖昧なとき
特に売却や建築では測量の有無が後々のトラブルに直結するため、松本市の不動産会社や工務店も測量を勧めるケースが増えています。
相続の場合、相続登記の義務化により、境界があいまいなまま登記を進めてしまうと、後々の売却や分筆で再測量が必要になり、二度手間になることもあります。
【測量には種類がある】
ひと口に測量と言っても、いくつか種類があります。
現況測量
土地の現状の形や高低差を確認するための測量で、建築前の敷地調査によく使われます。
境界確定測量
隣地の所有者に立ち会ってもらい、境界の位置を正式に決める測量です。
売却や相続で最も必要になるタイプです。
敷地調査測量
建築確認申請に必要な図面を作成するために行います。
分筆測量
土地を複数に分ける場合の測量です。相続や売却でよく使われます。
地積更正測量
登記簿の面積を実際の面積に修正するための測量です。
古い土地や、昔に開発された地域ではよく必要になります。
この中で最も重要なのが、境界確定測量です。
境界がはっきりしていないと売却・建築・相続すべてに影響が出るため、松本市の多くの相談で最初に必要性を説明するポイントです。

【境界確定測量の流れ】
ここでは、実際に依頼した場合の流れをイメージしやすいようにまとめました。
ご相談・ヒアリング
土地の状況、目的、測量の種類を確認します。登記簿や公図があると進みが早いです。
資料調査
法務局の図面、地積測量図、役所の道路台帳などを調べ、土地の歴史や境界の根拠を集めます。
現地測量
GNSS・トータルステーションなどの機器で土地の形を計測します。
隣地立ち会い
隣地の所有者を招き、境界の位置を双方で確認します。ここが最も重要な工程です。
境界標の設置
境界点に杭やプレートを設置します。
境界確認書の作成
立ち会いで合意した内容を文書として残します。
成果品の納品
境界確定図、座標情報、写真台帳などをまとめてお渡しします。
必要があれば登記手続きも代行します。
全体の期間は1〜3ヶ月が一般的ですが、隣地の調整や道路管理者との協議が必要な場合はもう少し時間がかかることもあります。
【松本市で測量を依頼するメリット】
地元の土地家屋調査士に依頼することで、次のようなメリットがあります。
・地形や昔からの土地利用に詳しい
・市役所・法務局との調整がスムーズ
・境界トラブルが起きやすいエリアを熟知している
・相続や売却まで含めたアドバイスができる
松本市は、山に近い地域は石積みの境界が多く、旧農地では昔の測量図が残っていないケースもあります。
こうした特殊事情を踏まえて作業してくれる専門家を選ぶことが安心につながります。

【よくある質問】
Q. 測量しないと土地は売れませんか?
A. 売れることはありますが、トラブル防止のため実測売買が一般的です。
Q. 隣地の人が立ち会ってくれない場合は?
A. 書面による確認や、資料根拠を積み重ねて進める方法があります。
Q. 測量すると面積が変わることはありますか?
A. 登記面積と実測が違うことはよくあります。必要に応じて地積更正登記を行います。
松本市で土地の売却や相続、建築を考えているなら、早めの測量が最も効率的で安心な選択です。
境界を明確にし、正確な面積を知ることで、後の大きなトラブルや損失を防げます。
特に松本市は地形が複雑で昔からの境界が曖昧な土地も多いため、測量の重要性は高いと言えます。
土地の現状を正しく把握することが、安心と資産価値を守る第一歩です。
不安な点があれば、ぜひ専門家に相談してみてください。