LOADING

ブログ BLOG

松本市で土地を所有していると、少なからず耳にするのが境界トラブルです。
境界があいまいなまま相続や売却を進めてしまったり、古い塀を建て替える際に境界位置がはっきりせず困ってしまったり、実際にはさまざまなケースで問題が起こります。

特に松本市は、昔からの住宅地と農地、山林が入り混じった地域で、境界杭が失われているケースや、古いブロック塀が隣地に数センチ入り込んでしまっているケースも珍しくありません。
雪や地盤の動きによって杭がずれたり、古い石積みの基礎が境界線と合っていないことも多い地域です。

この記事では、松本市で境界トラブルを避けるための基本知識から、境界標の探し方、境界確定測量の進め方、隣地との立ち会いのポイントまで、土地家屋調査士の視点で分かりやすく解説します。

これから売却を検討している方、塀の建替えを予定している方、相続した土地の境界が不明な方にとって、大きな失敗を避けるための重要なガイドになります。


【境界トラブルはなぜ松本市で多い?】

松本市では、次のような理由で境界トラブルが起こりやすい傾向があります。

昔の境界杭が残っていない
昭和以前の土地は、コンクリート杭ではなく木杭や石で境界を示していた時代があり、現在は痕跡が消えているケースが多くあります。

登記面積が古いまま
昔の測量は精度が低く、現在の実測と大きく違うことがあります。登記簿の面積と実際の面積が一致しないため揉める原因になります。

相続で土地所有者が変わっている
代を重ねて相続人が増え、誰も境界を正しく把握していないまま管理されている土地も多くあります。

塀やブロックが古くなっている
昔のブロック塀は境界とズレて施工されている場合があり、建替えのタイミングで問題が発覚します。

こうした背景から、境界の調査や測量が適切に行われていない土地ほど将来トラブルが起こるリスクが高まります。

【境界標はどこにある?探し方の基礎】

境界が分からないという相談の8割は、そもそも境界標の場所が不明なケースです。
境界標は、地面に埋められている小さな印で、種類は次のようなものがあります。

コンクリート杭
金属プレート
プラスチック杭
鋲(小さな金属の点)

境界標が見つからない場合、まず次のポイントを探してみると見つかることがあります。

ブロック塀やフェンスの角
敷地の角は境界標が最も多く設置されます。

道路との境界部分
アスファルトに金属鋲が埋め込まれていることもあります。

地面のわずかな窪み
境界杭が埋まっていると、少し盛り上がっている場合があります。

もし境界標が1つ見つかっても、その位置が正確とは限りません。
昔の杭が動いていることもあり、専門家が図面と照合して判定する必要があります。

【境界確定測量の必要性】

境界に関するトラブルを根本的に解決するには、境界確定測量が必要です。
これは、隣地所有者との立ち会いのもとで、境界位置を正式に確認し、書面で合意する手続きです。

境界確定測量を行うメリットは以下の通りです。

境界を法的に明確にできる
測量図に基づき境界を確定するため、後から争いになるリスクが大幅に減少します。

売却がスムーズになる
買主や仲介会社は境界の不明な土地を嫌うため、確定測量済の土地は高く売れやすくなります。

建築計画が正確になる
建てられる建物の配置、塀の位置、駐車場の計画などが正確に決まります。

越境が発見できる
屋根、塀、土間などの越境が判明し、覚書で処理することが可能です。

境界が曖昧な土地は、売却でも相続でも建築でも、不利益を受ける場面が多いため、境界確定測量は長期的に見ても非常に価値があります。


【境界確定測量の流れ】

境界確定測量は次のような流れで進みます。

相談・ヒアリング
土地の状況、境界トラブルの有無、売却や建築の予定を確認します。

資料調査
法務局、公図、地積測量図、道路台帳、古い測量資料を集め、根拠を整理します。

現地測量
専用機器を使い境界候補を計測し、図面と照合します。

隣地所有者への立ち会い案内
封筒で通知し、日時を調整します。

境界確認の実施
現場で境界杭の位置を説明し、双方が納得すれば境界標の設置を行います。

境界確認書の作成
双方が署名し、境界合意を正式な書面に残します。

成果品納品
境界確定図、写真台帳、座標一覧などをお渡しします。

必要に応じて登記
地積更正登記や分筆登記を行います。


【境界で起こりやすい4つのトラブル例】

松本市で実際に多い境界トラブルを紹介します。

塀やフェンスが越境している
古い塀が隣地に数センチ入っていることがあります。

カーポートや屋根の雨どいが越境
雨水が隣地へ垂れることで揉めることもあります。

境界杭の紛失
雪や経年で杭がずれたり無くなったりしているケース。

昔の図面と現在の状態が一致しない
分筆の履歴が古く、図面の精度が低い例もあります。

これらの多くは、測量によって正しい境界を確認することで解決できます。

【よくある質問】

Q. 隣地の人が立ち会いを拒否した場合は?
A. 書面で意見を確認する方法があり、測量自体は進められます。

Q. 境界杭は動くことがありますか?
A. あります。古い杭は精度が低く、必ず図面と照合する必要があります。

Q. 越境していたら必ず撤去しなければいけませんか?
A. 状況により覚書で維持する場合もあります。

松本市は土地の歴史が長く、境界が曖昧なまま何十年と使われてきた土地も珍しくありません。
しかし、境界問題をあいまいにしておくと、売却や建築、相続で大きな問題に発展します。

境界標を探し、専門家に図面との整合を確認してもらうことで、将来の不安を一つずつ解消できます。

境界確定測量は、土地の価値を守り、安全に活用するための大切なステップです。
松本市で土地の境界や測量に不安がある方は、早めに専門家に相談することをおすすめします。